掛け流し温泉宿を追い詰める温泉排水の除去義務について
2007年02月17日掲載
自家源泉や掛け流しの宿がなくなる?
冗談ではなく、今かなりの温泉地や宿で大騒ぎになっている。
WHO(世界保健機構)からの指摘で人体に有害とされるホウ素やフッ素が温泉の排水に含まれていることから除去を旅館に義務付ける法律ができ、基準がこの7月から強化されることになった。
基準をクリアするためには、一台3,4千万もする除去装置を旅館ごとに購入しなければ営業ができないというから死活問題であるのだ。
今回、この規制法に引っかかる温泉旅館の多くが自家源泉をもった掛け流しであり、泉質、湯量に恵まれた温泉地の中小旅館が目立つ。それらの多くが家族経営であり、この規制法は「温泉宿をやめろ」といっているようなものだ。日本の旅館の60%が赤字、70%以上が家族のみの零細経営だということを環境省を知っているのであろうか。
この法律、日帰り温泉には適用されない(そんなバカな)。また、ホウ素やフッ素などは、排水量ではなく、濃度が基準となっている。つまり、大量の温泉水が流されていなくても濃度が高ければダメなのだ。
温泉水を流している地域でホウ素やフッ素によって温泉地やその周辺の土壌や水質が汚染されたなどという話は聞いたことはない。工場排水とは違うのだ。
環境省は国民保養温泉(これを知っている国民がどれだけいるであろうか)の管轄や温泉分野にもタッチしているが、温泉を守るべき立場のはずの環境省がやるべき法制とはえない。
省内には温泉事情に詳しい職員や温泉ファンは多いはずであろうが、この内容を客観的にみてどう思うか。これが世間の常識であろうか。
今回の規制で鳴子や万座、別府、北海道では調べていないが、定山渓あたりが危ないという噂だ。国内湯数の湯どころが犠牲となる。それも家族経営が中心の弱者へ負担がいくとに納得できないのだ。
あの保守的な日本温泉協会が、環境省に長年「自然湧出している温泉を利用した旅館を当分の間除外して欲しい」と要求したらしいが、あっけなく却下されてしまったらしい。
まだ、この話はあまりニュースになっていないが、今後クローズアップされる可能性がある。
リサイクル法の時のビンテージ楽器を規制からはずさせたような周囲の盛り上がりに期待するし、管理人も「見直し」を強く訴える。
参考資料
All About日本の宿
日経新聞宮城版
▼
2/18、M氏よりホウ素やフッ素の含有量が多い温泉地に関する情報を頂きました。ありがとうございます。
【ホウ素】
定山渓温泉(北海道)、新安比温泉(岩手)、秋保温泉(宮城)、強羅温泉(神奈川)、松代温泉(長野)松之山温泉(新潟)、有馬温泉(兵庫)、白浜温泉(和歌山)、小浜温泉(長崎)別府温泉(大分)
【フッ素】
新玉川温泉(秋田)、草津温泉(群馬)、下呂温泉(岐阜)、十津川温泉(奈良)、道後温泉(愛媛)
がリストアップされていました。
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センセーショナルな記事に驚きを隠せませんでした。読んですぐにうちの温泉表示を見に走りました。幸い基準値以内ではありましたが、有名温泉旅館が軒並み引っかかるという現象に唖然としております。夫もびっくりして情報を探していました。環境省の弱者いじめはもうこりごりです。つい、先頃私たちも、別の問題でえらく虐められて参っていたところでした。日帰り入浴が許されるのは、どうやら管轄の違いによるものみたいですね。温泉旅館は環境省、日帰り温泉は厚生労働省、だから手はつけないのでしょうね。
なんだか、すっきりしません。日本の温泉旅館はこの現象を黙って見ているしかないのでしょうか・・・・
投稿者 山本裕美子 : 2007年02月18日 20:33
山本 裕美子 さま
温泉施設に対する”いじめ”は今に始まったことではありませんが、さすがに今回は酷いですね。地元の保健所とのトラブルはよく聞きますが、環境省の水質汚濁問題は、温泉に高価な濾過施設を導入しないと営業ができなくなるという次元が違う問題です。
各地の温泉旅館(組合)は黙っていないと思います。含有量が多いといわれる温泉には、国内を代表する名湯が含まれています。この数年で掛け流し温泉が市民権を得るようになり、温泉の楽しみ方が変わってきた矢先に今回の問題です。
北杜の窓のような小サイトでもこの問題を取上げて、世間にこの問題を知らしめてゆきたいと思います。
投稿者 北杜の窓 管理人 : 2007年02月18日 21:57
河川を守る立場から言わせていただきます。温泉の成分が原因なのか、シャンプーや洗顔料が原因かはわかりませんが、少なくとも温泉宿の排水が流れている川、特に排水口から下数百メートルは海草のような藻が発生し、魚は全く姿を消してしまいます。現在日本の各地で温泉ブームに乗っかり、中小さまざまな温泉施設が乱立していますが、掛け流しに限らず、入浴施設は風光明媚な川の端に建ち、そのきれいな川に何トンもの排水を出します。もしかしたら成分だけでなく水温にも問題があるのかもしれませんが、いずれにしてもかつてはアユやヤマメの姿が見えた場所からは雑魚の姿もなく、中には悪臭まで放つ場所もあります。川の水量を考えれば、地下からくみ上げたものをまた川に戻すのが自然な形ですが、その排水は人が口にしても大丈夫なくらいきれいな状態にして自然に返すのが人間の義務だと思います。自然を利用して利益を得ている人の責任ではないでしょうか?現在汚くなった川から姿を消した魚を取り戻す為、各地の水産試験場ではそんな川でも耐えられる強い魚の改良に取組んでいますがこれには矛盾を感じます。ただむなしくなるばかりです。
投稿者 あゆちゃん : 2007年04月13日 10:35
あゆちゃんさんへ
コメントを寄せていただきありがとうございます。
この問題はこれまで主に温泉ファンの立場で論じられてきたと思います。古くからあり、源泉かけ流しで、規模が小さい温泉旅館が引っかかってしまうので、こんな矛盾だらけの悪法は追放、ということで盛り上がってきました。
あゆちゃんさんのご意見は温泉ファンが気づいていない角度で見られています。大変参考になりました。
但し、わからないのは今回の法制でひっかかる温泉が昔からある名湯が多く、それでは江戸時代から排水を流し、魚が住めない川であったのか、それとも住めなくなったのが最近なのかよくわかりません。
このあたりはご専門であると思うのでご意見をお聞きしたいと思います。
投稿者 管理人 : 2007年04月15日 18:01
