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函館バル街とバル文化

2006年04月26日掲載

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例の「函館バル街」が4月16日(日)に開催された。
今回で5回目の開催となるバル街は、2004年2月に第1回が開催。その後はほぼ半年間隔のペースで行なわれており、函館を代表する地域イベントに成長をした。

5回目のバル街は初の日曜開催ということで昼間からの参加店も増え、裾野が広がってきた。日中からコーヒーと軽いデザートを食べられるので、お酒だけではなく、一日楽しめる本来のスペインバルに近づいてきたかんじだ。

バル街へは昨年3月の第3回以来、これで3回連続の参加である。
きっかけは、実行委員長である深谷氏がオーナーのスペインレストラン「バスク」へ数年前から通っている縁もあるが、今から20年前、スペインに長期滞在をしてバル文化を満喫した経験があることが大きい。その後も何度かスペインを訪問しているが、スペインでもっとも印象的で思い出深いものをひとつ挙げろといわれれば迷わず「バル」と答えるであろう。バルはスペインの文化そのものである。

スペインのバルは、朝の7時前から深夜0時過ぎまで開いている。
朝は朝食(desayuno)の客でごったがえし、それが落ち着くと11時頃には午前のおやつタイム(once)の客がやって来る。昼食(comida)を挟み、午後の休憩(merienda)、そして夕方からははしご酒タイムの時間と続き、一日5回のピークがあるといわれている。(最近は様変わりしてきているようであるが)
ほぼセブンイレブン状態(今は24時間営業だが)であり、バル店員の長時間労働がしばしばスペインでは社会問題になる。

バルの最大の役割は、スペイン人にとって時計代わりの場所であり、食の供給基地、また、コミュニケーションの場であることだ。イングランドのパブやフランスのカフェ、イタリアのバールなどと似ているが、微妙に役割や内容が異なっている。
バル文化とは単にはしご酒といった意味だけではなく、もう少し広いコミュニティとしてのメッセージがある。

日本ではこの形態の飲食店は殆んどお目にかかれない。強いていえばイタリア風カフェ&バールの「PRONTO」の業務形態が近いが、こちらは大手外食産業(サントリーフーズ運営)のためスペイン式バルとは比較の対象にはならない。

最近、スペインバルが密かなブームになっている。既に銀座界隈では10店舗近くある。手軽で、お洒落なところがウケているようだが多くは夕方から営業の”呑み屋”であり、経営者も外食産業のプロである。
古くからある立飲み屋も日本流のバルといえないこともないが、もとのコンセプトが違う。

スペインバルの特長は「朝から深夜まで」である。そして、地域住民の交流の場である。どんな小さな田舎町でもバルはある。人口数百人の集落でもバルが成り立っている。日本では考えられないがそれが文化である。

函館が地域活性にバルを選んだ意義は大きいと思う。有数の観光地である反面、駅前から十字街、宝来町方面などシャッターを降ろした商店も目立つ。特に夜になるとバッタリと人通りがなくなる。地元客と観光客が行く店が分かれており交流も乏しい。年配者が中心の地域である。かって函館の中心街であり、ハイカラ文化の発信地であった西部地区を元気にするためにバルを持ってきたのは絶妙である。

現在、駅前や商店街の空洞化が進み、商圏は郊外へ移っているのが、これは日本の地方都市全般の傾向である。札幌のような大都市でも郊外型へ移行しつつある。飲食店の多くが大手の外食チェーンとなり、個人店舗がどんどんとなくなってゆく。それは地元経済の損失だけではなく、地域が持つ個性の喪失日本の均一化でもある。

中心街や個人商店の崩壊、車文化による郊外型社会、希薄化する対人関係などこういった時代だからこそバル的な文化が求められるのでないか。

勿論、スペインと同じものではなく、日本流のものでいい。ヨーロッパ、特に地中海国家はどんなにIT化が進んでも自分たちのライフスタイルを頑なに守る。

バル街の魅力は既存施設を活用するので設備投資の必要がなく、行政にも頼らない新しい形の地域活性策である点だ。地域を「飲み歩く」行為によって地域の掘り起こしや再確認をする意味でユニークなちづくりモデルになるのではないかと考えていたが、これからはもう一歩、中へ踏み込み、広義のバル文化を根付かせられないものかと思った。

函館バル街が単なるイベントとして終わるのではなく、地域再生、回帰へつなげるためには、日常的な集いの場の提供など朝から夜まで居ることができるモデル店舗的なものがあってもいいのではないであろうか。
また、このような発想が全国各地が広がることを希望する。


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